混声みしまの皆さん、第6回定期演奏会、お疲れさまでした。本番では練習の成果が十分に発揮された、いや、それ以上の成果が得られたのではないかと思っています。(ステージ写真:土屋俊明)
以下はホールのマイクで録音したものを聴いた感想です。
〈1部〉のチルコットステージでは、「 Irish Blessing」の落ち着いたテンポ開始の中で、女声がつややかな声で歌い始め、続く男声も非常に頼もしくサポート。曲の内容にふさわしい音色に満たされていました。そのまま「百合薔薇」へ入っていきますが、音色はそのままに、神秘的な雰囲気が全体を包み込み、婚礼の朝を迎えた少女の不安な心をうまく表していました。(私はこちらの解釈!)
「ジャズミサ」は、仲良しトリオ(廣瀬・阿部・高橋)の好サポートを得て、非常に音楽的な演奏が出来ました。実は最初、振り付けも考えていたのですが、今回は音楽だけに徹して良かったと思っています。リズムもハーモニーも気持ちよく決まっていて爽快です。ダイナミックもうまく表現できていました。
〈第2部〉の「方舟」ですが、詩人:大岡信さんの奥様を会場に迎えてのステージ。ある意味ちょっと歴史的瞬間だったのかもしれません。(1980年12月の「方舟」初演には、大岡信さん本人が聴きにいらしてます)奥様に捧げられた2曲目の「木馬」の演奏は緊張しました。演奏は、今の混声みしまに出来る、最上のものが展開されていたのではないかと思います。全体に瑞々しい感じで、練習の時の録音とはまるで違う世界。(ホントに同じ合唱団?)音色も多様で、曲の魅力を充分引き出せたのではないでしょうか?あちこちミスはあれど、事故を恐れず、怖がらずに曲にぶつかっていくのが逆にすがすがしさも感じました。これは混声みしまの成長のひとつだと私は思っています。プログラムで一番緊張した演目でしたが、「方舟」は若者だけの音楽ではなく、私たち大人の年輪ある表現もいいと思いました。休憩時間には楽屋に豊岡市長がいらしてくださり、「大変良かった。大岡信さんの奥様も大変お喜びでした」とのお言葉をいただきました。
〈第3部〉の昭和歌謡ステージは、再びオケのメンバーを迎え、団員は水色の衣装で華やかな雰囲気です。
まず「花嫁」は端正な響きで聴衆を昭和の時代に引き込み、「戦争を知らない子供たち」は、信長さんの感性と昭和のコラボが面白い編曲ですが、廣瀬先生の秀逸なオケアレンジで、独特の世界を作り上げていました。混声みしまは、最後のffでは音量レベルを変えた?と思うくらいの圧倒的な声量で、びっくりしました。これは練習では一度も聞いたことが無かった。。。
「ブルー・ライト・ヨコハマ」では一変、伸びやかな声で魅了されます。恋の切なさ、憧れみたいなものが良く表現されていました。「ザ・ピーナッツメドレー」は、これこそミラーボールが欲しかったなと思えるほどの盛り上がり。軽快なテンポと生き生きとした歌声に聴衆も自然に体が揺れたのではないでしょうか? 3ステの終わりは「世界は二人のために」で締めくくり。混声みしまのあたたかい歌声は会場を幸福感で包んでいました。
〈アンコール〉は、ジョン・ラターの「永遠の花」でした。東日本大震災で亡くなられた人々への哀悼の意味を込めて作曲されたこの曲。混声みしまは、聴衆に一歩近づいて、ステージに1列に横に並び歌いました。音の広がりがとても効果的でした。祈りにも似たこの曲は、聴衆の心に深く刻まれたことでしょう。
【視聴後記】
第6回演奏会で目指したものは、曲によって音色を変えるということでした。詩を書く人の思いがあり、詩に曲を付けていく作曲家の存在があります。演奏者は、それぞれの思いをくみ取り、音で再現しなくてはなりません。そのためには、言葉の意味を考えて、それにふさわしい息を使うこと、且つ心を燃やすこと。どんなにいい発声でも、音が取れていても、意味が分からず心が燃えていなければ無意味です。作品に奉仕するというのは、作詞者、作曲者の心の底まで深く分け入り、様々な思いを共有することであって、そのように出来たとき初めて音色が色彩溢れるようになり、人々を感動させられるのだと今回は特に思いました。
【協力者】
写真撮影:土屋俊明(海老名:混声合唱団すおなーれ団員)
アナウンス:堀 愛(海老名:女声合唱団ビナ・フィオーレ団長&ララーズメンバー)
(お知らせ)
皆様に重要なお知らせです。これまで私だけの胸に留め置いていたことなのですが、混声みしま結成時から長きにわたってご一緒してきたピアノの廣瀬先生が、今回の定期演奏会をもってお辞めになることになりました。
理由は、一身上の都合とのことです。
とても残念ですが、廣瀬先生の意思は変わらないとのことですので、次回8月7日の練習からは当面、代理のピアニスト、小屋敷梨花が務めます。
◆9月8日三島市合唱祭曲目:木下牧子/混声合唱組曲『方舟』より”水底吹笛”
◆10月27日三島市芸術祭曲目:ジャズミサ / Kyrie・Gloria / ブルー・ライト・ヨコハマ / ザ・ピーナッツメドレー
[次回予定]2024.8.7 18:30~20:45 (三島市民生涯学習センター3階講義室)
①木下牧子/混声合唱組曲『方舟』より”水底吹笛”
②ジャズミサ/Kyrie・Gloria
③ブルー・ライト・ヨコハマ
③ザ・ピーナッツメドレー